日本カトリック医師会の沿革
1. 創立
日本カトリック医師会は3人のカトリック医師によって発起・創立された。すなわち、医師であり司祭であった戸塚文卿、長崎大学放射線科教授の永井隆、慶応大学精神科教授の三浦岱栄の3人であった。昭和17(1942)年3月29日、東京で開かれた日本医学会総会のために全国から上京した11人のカトリック医師が関口教会に集まり、土井大司教の祝福を受けたのちに懇談会を設け、以後、医学会総会のある年に4年ごとに総会を開くことを決めて散会した。この日をもって日本カトリック医師会の発足の日としている。したがって、平成24(2012)年は日本カトリック医師会の創立70周年に当っていた。
2.東京カトリック医師会
その後戦争が苛烈さを増し、医学会総会は開かれず、従ってカトリック医師会総会も開かれないままに終戦を迎えた。しかし終戦翌年の昭和21(1946)年から三浦岱栄は東京カトリック医師会を組織し、定期的な会合をもっていた。
3. 第1回総会
昭和26(1951)年3月31日、日本医学会総会に合わせて120人のカトリック医師が東京に集まり、第1回カトリック医師会総会が開かれた。会長に陰山宷(さだか)が選出され、会則も制定され、ここに名実共に日本カトリック医師会が発足した。
4. 会員の増加と会誌の発行
4年後の昭和30(1955)年に、第2回総会が京都で開かれたが、その時の会員数は488人であった。以後会員数は漸次増加し、昭和60年代には1200人近くに達した。支部数も初めの11支部が現在は20支部に増加している。第2回総会のときに会誌の発行が決まり、昭和30年11月に「日本カトリック医師会会誌」の創刊号が出され、以後、わずかなブランクはあるが、毎年年末に発行され、平成24年までに51号を数えている。なお、平成9(1997)年頃から会報が春に出されている。
5.世界、およびアジア・カトリック医師会に参加
昭和29(1954)年、アイルランドのダブリンで開かれた第6回世界カトリック医師会総会に森口幸雄氏を初めて送って以来、毎回の総会に代表を送っている。また、昭和35(1960)年にマニラで開かれた第1回アジア・カトリック医師会総会に参加し、その後は昨年の第15回総会まで毎回参加している。昭和43(1968)年の第4回、同63(1988)年の第9回総会は日本の東京、長崎でそれぞれ開催された。平成28(2016)年の第16回総会は日本にとって3回目の主催となる。会場は京都が予定されている。
6. 現在の活動
国内的には、年2回の理事会、年1回の評議員会、2年に1回の総会のほか、医療関連学生セミナーを毎年開催している。ホームレスや外国人労働者の健診、命の電話、東北大震災の救援活動、高齢聖職者や信徒たちへの支援運動、各種講演会の開催等々の社会的な活動を続け、海外では、フィリピンへ毎年医療奉仕団を派遣しているほか、ベトナム、ハイチ等々での医療支援活動も行っている。